研究関心

ろう児や者に関わる精神保健や心理臨床を中心に、2008年からは障害学とろう者学を主な研究関心テーマとして、研究と臨床に取り組んできました。最近は、研究者生活15年を迎え、手話言語学、特にろう社会における社会言語学や言語習得理論に関心を持っています。

質的研究、量的研究、理論研究などどのような様々な調査方法のトレーニングを受け、論文を書いてきましたが、中でも量的研究を得意としています。主に使う統計ソフトは、SPSSです。Rも使えます。

精神保健・心理臨床

精神保健や心理臨床、中でも特に精神保健の現場における手話通訳のあり方やろう者をマイノリティとして捉えた上での支援のあり方について研究を行ってきました。

大学時代は、ろう学校に通学する中高生の補聴器装用についての心理的葛藤に関する研究にのめり込んでいました。大学で初めて、情報保障を受けた経験から、ろう・難聴学生が直面しやすい葛藤について、聴力障害者情報文化センターが発行した「聴覚障害者の精神保健サポートガイドブック(高山, 2005:聴力障害者情報文化センターなどで閲覧可能)」に寄稿しました。

大学院博士一貫課程に進学したばかりの時は、ろう・難聴者の精神保健や心理臨床に強い関心を持ち、それをテーマに研究に取り組んでいましたが、当時の恩師に言われた「臨床を知らないで、机上の空論だけじゃ、良い論文は書けない。」という言葉に取り憑かれたように、しばらくひたすらろう・難聴の子どもたちの心理支援や生活支援など臨床に関わってきました。実践を通して見えたきた答えが、支援のあり方を検証する以前に、ろう・難聴者の精神保健に関わる専門職の養成が課題だと考え、それをテーマに中間評価論文、いわゆる修士論文(高山, 2007:筑波大学図書館で閲覧可能)を提出し、1)ろうあ者相談員や社会福祉専門職を目指すろう・難聴者が増えているが、就労の道が狭いこと(高山, 2008)、2)多くの障害を持つ対人専門職が学会や専門職団体で研修を受けにくい状況(高山・奥野, 2008)があることがわかりました。その結果、設立メンバーとして関わったのが、日本聴覚障害ソーシャルワーカー協会です。また、ろう・難聴者のソーシャルワークをまとめたテキストがないことを痛感し、恩師とともに出版社に掛け合った結果、中央法規出版様より「聴覚障害児・者支援の基本と実践」を出版させていただきました。社会福祉分野で働くろう難聴者の状況とギャローデット大学ソーシャルワーク学部の教育カリキュラムの2章を執筆しました高山, 2008)。

これがきっかけで、ギャローデット大学大学院ソーシャルワーク研究科で、世界で唯一のろう・難聴者支援を専門としたソーシャルワーク教育を受けてみたいと、日本財団聴覚障害者海外留学奨学金に応募。第2期の奨学生として採用され、大学院博士課程を休学した上で、2006年〜2009年まで留学しました。この留学経験が、研究者として専門家としての大きな転換点になりました。それは、医学モデルによる専門職養成やアセスメントにすっかり色染まっていたのが、大きく文化言語モデルとしてろう者を捉え、臨床に関わるという考えに人生を揺さぶられたのです。留学に関する記事はこちらで読めます(日本ASL協会, 2020)。この経験から、医学モデルとしてのろう・難聴者ではなく、文化言語モデルからろう・難聴者を捉えることの重要性も体感しました。文化言語モデルを学ぶための一つの手段が、ろう者学や障害学でした。

そこから私の博士論文の計画は大きく変わり、私の恩師が定年退官した後の指導教官からは文化言語モデルへの理解が得られず、結果的に単位取得満期退学するまで完成させることはできませんでした。ですが、発達心理学や精神保健を学んだ博士一貫課程は貴重な経験になりました。博士論文を完成することはできませんでしたが、恩師の紹介で、他大学大学院博士課程でろう文化に深い知見を持つ教授のもとで、ろう者学を取り入れての博士論文を執筆、無事に提出しました(高山, 2019:日本社会事業大学の図書館で閲覧可能。2022年度に博士論文を刊行予定。)。これについては、下段の「ろう者学・障害学」で述べていきます。

話を戻し、留学を通して、もう一つの大きな出会いがありました。それは、アラバマ州で開催されている認定精神保健手話通訳者養成制度でした。それまでは、ろう・難聴者に直接関わることができる当事者専門職の養成に血眼になっていたのですが、それではどうしても人材の絶対数として不足するのは明らかで、どうしても手話のできないソーシャルワーカーや心理士による支援も必要になります。彼らの実践のて手助けが可能なのが、手話通訳者です。精神保健専門の手話通訳者の養成あり方について学び、カリキュラムや制度をまとめました(高山, 2018)。

日本に帰国し、東日本大震災などを経験する中で、従来のろう・難聴者の支援枠組みだけでは、どうしてもすくいきれなろう・難聴者がいることに気づきました。そのため、彼らに新しい支援枠組みの選択肢をもたらすために、2018年から遠隔精神保健支援(Tele-Mental health)の研究を行っています(クロウ・高山, 2018)。

災害支援・危機介入

2011年3月の東日本大震災での災害支援活動をきっかけに、ろう社会における災害支援のあり方や課題について研究を進めてきました。

引き続き、工事中。

ろう者学・障害学

ろうあ児施設や聾学校スクールカウンセリングなどの臨床経験を通して、主に、ろう者を対象とした心理・福祉専門職のコンピテンシーや養成方法のあり方について、ろう者学や障害学の視点から研究を進めてきました。

引き続き、工事中。

ろう者の医療健康問題

新型コロナによるパンデミックや国立がん研究センターの障害を持つ患者支援研究プロジェクトへの参加をきっかけにろう者の医療問題に関心を持つようになりました。

引き続き、工事中。

手話言語学

2021年から特に社会言語学や言語習得理論に関心を持って研究を進めています。2022年からギャローデット大学大学院言語学修士課程で社会人学生として学ぶ予定です。

引き続き、工事中。